どうも、アトルです。35番目に好きな四字熟語は「侃侃諤諤」です。
昨日4月8日、何があったかご存知でしょうか。
#魔々勇々 最新話本日更新
— 少年ジャンプ編集部 (@jump_henshubu) April 7, 2024
【No.29 CLOSER 】
本編は今週で完結いたします
ご愛読いただいた皆様本当にありがとうございました🙏
続々重版中の1巻、そして最新2巻は大好評発売中!
そして7月に3巻、8月に最終4巻が大幅追加描き下ろしで発売予定!
林快彦先生の次回作にご期待ください🙇#ジャンプ pic.twitter.com/snpLVX5cEB
そう、週刊少年ジャンプ連載作品「魔々勇々」が完結しました。
全29話大幅追加描き下ろし込みで単行本4巻、世間一般としては数あるジャンプ打ち切り漫画の歴史にまた新たな足跡が刻まれた、といったところかという感じなのですが、個人的にはいち読者として非常に期待を寄せていた作品でした。
という訳で今回は、この7ヶ月と少し読者としての自分がどう思ってこの作品を追っていたかを振り返ってみようかと思います。
と、その前に予め述べておくことが1点。
まぁある程度人気を得ていた作品が打ち切られた時の風物詩とも言うべきか、魔々勇々連載終了に関して現在SNS上で様々な憶測が観測されますが、今回の記事ではそこには触れません。
自分としても応援していた作品がこういった形で終わりを迎えたことに思うところは勿論ありますが、陰謀論的な話にもなってくるし触らぬ神になんとやらってところで。
純粋に作品を読んで何を思ったかのみにフォーカスしていこうと心掛けます。
今回僕に秀英ビルに突っ込む意図はございません。
なおアスミカケルと暗号学園に関しては秀英ビルに突っ込む意図が生じかねません
あ、当然ネタバレ注意です。
・第1話
[No.1]魔々勇々/週刊少年ジャンプ新連載試し読み - 林快彦 | 少年ジャンプ+
率直にこれは、次世代の看板が来たと思いましたね。
魔々と勇々、これは完全に来ましたね。最近の流行りも踏まえつつ完璧に王道少年漫画の1話をやってきた。呪術とヒロアカが終盤を迎えている中でこの作品が間に合ったのはジャンプの未来に明確に光が差したように思う。
— アトル (@lilinist4) September 10, 2023
タイトル間違えてるが……
1話は「他者を守ろうとする心こそが勇者を勇者たらしめる」という少年漫画的に分かりやすいテーマながらちゃんと王道>陳腐でドラマになっている筋書き
今やファンタジーの一つの雛形となった「魔王と勇者」設定をベースに、並行世界から数々の魔王と勇者がやってくる、という拡張性の高い世界設定(こういうの、ラノベとかソシャゲとか他誌では結構使われるプラットフォームだけどジャンプには意外と無かったなという印象 多分挙げればいっぱいあるんだろうけど)
漫画の演出面も魔王エンドのグロテスクで恐怖を演出する描写(個人的にはチェンソーマンを想起した)、独特なコマや擬音の使い方が印象に残る。
う、上手ぇ……面白ぇ…………
そしてもう一点自分の琴線に触れたのが、「勇者」である主人公コルレオの対立項であるこの世界の「魔王」に、そのコルレオの母親としての属性を強く持つマママというキャラを配置している点。
かの尾田栄一郎先生も『冒険の対義語は母親』という言葉を示しているように、とかく少年漫画と母親という概念は相性が悪い。実際ジャンプバトルアクション漫画の主人公の多くは物語開始時点で母親と死別済み。ヒロアカはようやっとる。
そこに来てこの作品、なんと主人公の母親を明確に話の中心に持ってこようとしている。少なくとも自分はそう解釈しました。
主人公コルレオの今後の成長に伴い、「魔王」であり「母」であるマママをどう動かしていくのか。やはり勇者コルレオの成長に伴い魔王マママも望むと望まざるとに関わらず力を取り戻し望まぬ敵対を強いられたりしていくのか。その先に何が起こるのか。それともそれとは全く違う思いもよらない展開を持ってくるのか。
ともかく1話を読んだ自分は、このマママという少年漫画的にあまりに難しい食材をこの作品が今後どう料理していくのかに強く興味を抱きました。
この時点ではね……
古い考えかもしれませんがジャンプにはやはり能力バトルアクションものの看板(スポーツ漫画でも可)が無いと盛り上がんねえよな、と思っており、そういう観点ではこの時点(2023年9月)のジャンプは、ワンピはひとまず置いておくとして残りの看板格は呪術とヒロアカ。そして両作品ともに明確に最終局面のラストバトルが始まっていたので、次世代の看板足りうる跳ね方をする作品をどこか待ち望んでいるところがありました。そこに来てこの魔々勇々、ひいては一週ずれて始まった「カグラバチ」は、次世代の看板になりうるポテンシャルを感じさせ、この時期非常にワクワクしたのを覚えています。
・序盤(2-7話くらい)
魔々勇々、1話の完成度は間違いなく素晴らしい高さだったが方向性として「読切としての」完成度の高さだったので3話まででどういう方向性で話転がすかでかなり展望変わってくると思ってたけど、2話はかなり少年漫画的にわかりやすい方向に舵とってくれたなという印象です pic.twitter.com/EQqeK5R14i
— アトル (@lilinist4) September 17, 2023
魔々勇々、異世界とか魔王勇者とかの最近のジャンプには無い角度を期待してたから新連載陣最有望株で張ってたんだけど、ここ最近の展開がちょっとあまりにもジャンプの伝統に則り過ぎてて君に求めてたのもうちょい変化球なんだけど……になってる
— アトル (@lilinist4) October 2, 2023
2週間でこの転身である。一番信用できないタイプの読者だなコイツ
2話でこれで良いっつってんのに何故か手のひらを返してますが、これは自分がこの漫画に求めているものが「見たことのない独自路線が見たい」のモードになっていたので、大筋を所謂ジャンプ漫画的少年漫画的文脈に乗せるのは良いとしてその中で何かこの作品独特のものが見たかった、みたいな思いから来ているものと思われます。じゃあどういう流れなら満足だったんだよ それが分からねえから読みてぇっつってんだろうが
それにしても4話でこの感想は今見返すと自分でも早過ぎると思いますがこうなったのにも明確な理由があり、あんだけ期待していたマママが3話にして早々に物語の中心部から退場したからです。
これじゃ凡百の母親キャラやろがい!!!!!!!!!!!!!!!
魔々勇々は……なんだろうな……1話読んでもっと変化球の新境地を期待してたんだけど凡百のジャンプっぽい漫画になりつつあるというか……
— アトル (@lilinist4) October 8, 2023
少なくともマママを物語の本流から外す方向に舵切ってるのは個人的には滅茶苦茶減点でかくてぇ……
ちなみにパンネロはだいぶ好き。特に3話の斬撃がコマ割りと同化して表現されてるとことか。ただ4話の私に右手を使わせてみなさいがあまりにも10年前のジャンプだったので凡百のジャンプ漫画ポイントが加算されてしまったかもしれない。なんだそのポイントは。
魔々勇々虚羅……俺が見たいのはそれじゃない 魅せてみろ!!
上のツイートといい魔々勇々の話してると宿儺になってしまうのは中盤以降のコルレオ戦闘スタイルが斬撃&炎で完全に宿儺のそれだからなのだろうか
エスカバ戦に関しては、チュートリアル敵が本当にチュートリアルなのが結構な地雷で評価低いです。まぁこれもグリシャが悪いんだよな……この漫画の明確な弱点、割と序盤から出ている黒幕のグリシャに致命的に魅力が無いところですね 終盤のエンド真実分かればコイツの魅力の薄さも納得なんですが、それならそれでしばらくは別の中ボス挟むとかで緩和して欲しかった
・中盤(ミネルヴァ登場〜遊園地辺り)
魔々勇々、1話読んだ時に期待した方向性に行くことは多分もう無くてそれを期待し続けながら読むと正当な評価が多分一生下せないからちゃんと普通に所謂ジャンプ的な文脈に頭を切り替えて追うことにした
— アトル (@lilinist4) November 12, 2023
とりあえず今週でおっさんとミネルヴァちゃんは結構好きになりました
魔々勇々、今週何が良かったってマママが出てきたところかな……(コイツずっとマママのことばっか言ってるな)
— アトル (@lilinist4) November 19, 2023
あとやっぱミネルヴァちゃんが絡むとグッと会話にキレが増しますねこの漫画 無銭飲食が何言ってんだ?のとこの言葉選びと表情良過ぎ
魔々勇々、ここまでちゃんと王道少年漫画やれるならもう初回に期待してた方向性とズレたことは受け容れる 今のまま愛せる 頑張れ
— アトル (@lilinist4) December 3, 2023
あと魔々勇々はなんか本当に順当に少年漫画として良い感じになってきたね……マママが外野なのは一生許さんが……
— アトル (@lilinist4) February 5, 2024
ミネルヴァ登場、ラルフレッド戦辺りから俺が夢想した理想の魔々勇々を求めるのはやめてちゃんと現に王道ジャンプやってる魔々勇々を愛そう……という思考に切り替えたので評価が上がって行ってますね。
やはり追加キャラが悉く魅力的だったのが大きく、個人的には特にミネルヴァが性癖ドストレート。俺の性癖分布図のストライクゾーン左下付近をガッチリ捉えている。泥臭くてカッケェツインテの女、最高。
参考しなくていい参考資料:https://ehec-atl.hatenablog.com/entry/2024/03/22/200519
魔々勇々、何故俺が爆裂に気に入ったキャラから順にスタメンを外れて行くんですか?(マママ、ミネルヴァ)
— アトル (@lilinist4) January 5, 2024
なんでやねん。
まぁそれはそれとして、過酷な生立ちやそれに由来する信念により良くも悪くも頑ななラルフレッドやちゃんと魔王らしい世界を制覇する強能力に子を喪った母親としてのバックグラウンドを添えてエリシアの生い立ちと対比させたクプトゥラ、他人より高い視点で物事が見えているからこその狂人サディコなど、魅力的なキャラに効果的なエピソードを添えてちゃんと感情移入させるのが滅茶苦茶上手いですこの漫画。そしてそれを通じて初期登場組のコルレオやエリシアの魅力も上がっていく。素晴らしいですね。オイ理想形じゃねえかなんで終わってるんだこの漫画。
・終盤(最終戦突入 3月入ってからくらい)
今週のジャンプ、魔々勇々が突然予後不良の打ち切りの波動発し始めて腸煮えくり返ってるんですけど…………
— アトル (@lilinist4) March 3, 2024
何がダメだった?これに関しては僕そこそこアンケも入れてた筈だぞ……?
魔々勇々、1話にぶん殴られてこれはジャンプの風雲児になり得ると思ったら1話以降なんか真面目にジャンプ漫画し始めて、思てたんと違たな……と思いつつこの路線でも普通に出来が良いのでほなこの路線で応援するか……でもマママはもっと活かせよと思っていたらなんか打ち切られようとしている 許せん
— アトル (@lilinist4) March 3, 2024
はい。
正直遊園地後明らかに不自然なタイミングでグリシャ戦に突入した時点であっ……(察し)になっちゃったんでそっからはもう終わるんだ……という目で読んじゃってたんでアレなんですが。
やっぱグリシャがキャラとしてスカスカなので黒幕としての魅力がない(これはエンドの真相的に恐らく意図的な造形)んで読者的にも作中的にも気に入らない奴を漸くぶっ飛ばせるというカタルシスで気持ちよくなる流れなんですが、修行編を端折ってるせいでグリシャに対してイキれるほどにコルレオが強くなってることにも説得力が薄いんで個人的にはそこにはそんなにノリきれなかったなと言う感じですね。
ただ、その後の真ボスエンド再登場→真相開示→コルレオとの対話 の展開は、1話を読んだ時に期待した「見たことのないものが見られるかもしれない」という気持ちを少し思い出す展開でした。十全の伏線やエピソードの積み重ねの末にここに行き着いた世界線が見てみたかった。
まぁ最終巻は大幅加筆のようなんで、この辺りについては単行本出てからですかね。
……といったところで魔々勇々リアルタイム読者としての振り返りでした。これを読んでくださった方でなおかつ未読の方(居るんか?)は気になったら単行本買って読んでくださればと思います。確実に光るところはある作品でした。
月並みな定型文とはなりますが、林快彦先生の次回作に期待しております。
次期看板枠はカグラバチ、お前に託した。アイツは大丈夫だろ、多分。
ちなみに現状の僕の認識としては、超SSR級の最高のアニメ化を受けてバフが乗ったアンデラが次の看板に最も近くなったと思っています。いやマジで考えうる限り最高のアニメ化だったろアレ。ただまぁ社会現象級の影響力はまだない(最近の諸作品がおかしいとも言うが)し、なんやかんやアンデラも本誌はそこそこ終盤に差し掛かってるとは思うんで後控えは欲しいとこですね。サカデイ、逃げ若、夜桜さん辺りのアニメ化控えた中堅層がアニメで跳ねてのし上がるルートに期待です。
…………余談ですが。
ちなみに先週の段階で友人に「魔々勇々は次世代の看板の器だよ!もし違ったら木の下に埋めてもらっても構わないよ!!」と言ったところ魔々勇々が1話除外で巻頭カラーを2回獲得するまでに終わったら1ヶ月アンケに暗号学園を書けなくなるという謎の賭けが勃発しました
— アトル (@lilinist4) September 17, 2023
こういう話があったんですが、この話は魔々勇々より先に暗号学園が連載終了することでお釈迦になりました。
…………やっぱ秀英ビル突っ込んどこうかな……知らんけど。